四国遍路170万歩の旅

−定年遍路道中記−







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4月11日(日) 22日目 「後ろから誰かくる」  晴

6:10宿出発…松尾峠9:30…40番観自在寺(14:00〜30)
…御荘町・山代屋旅館16:00着 <29.8キロ 39,738歩>
40番 観自在寺
御荘町・山代屋旅館
 お腹がすくと苛立って自然と足が早くなる。宿毛の市街地を抜け、自販機で買った飲料とカロリーメイトを食べながら昼間でも薄暗い山道を登った。この道もただの山道ではない、昔から多くの人が歩き踏み固めてきた道だった。
 番所跡や茶屋場跡など昔の名残を今なお遺している遍路道を登り、高知県と愛媛県の県境、標高300mの松尾峠についた。
松尾峠 国境碑
大師堂のある静かな竹やぶの中に、「従是東土佐国」、「従是西伊予国宇和島藩支配地」の2本の国境碑が立っていた。

 誰か後ろからついてくる気配がして振り向いたが誰もいない。さっきから私と同じペースで歩く何かを感じていた。気のせいかと思ったが何となく気になった。しばらく経って、また誰かいる気がして振り向いた。誰もいなかった。
 一瞬、これが「同行二人」? 「お大師様」?と身震いした。こんな体験は初めてのことだった。

 御荘町は旧道沿いに家が立ち並らび、突き当たりの高台に「菩提の道場・伊予の国」最初の札所「40番観自在寺(かんじざいじ)」があった。
観自在寺大師像
大師堂の扉の合間から大きく目を見開いたお大師像が私を見ていたのが印象に残っている。
 山代屋旅館の電話番号は0001番で、この町で最初に電話を引いたという古い旅館だった。
 ご主人はよく気がつくし、おばあさんは洗濯をしてくれるなどお遍路さんにとってはうれしい宿だった。今夜は夫婦3組と男性3人の全員がお遍路で、広間には部屋毎に島式に卓が置かれていた。この辺が同一テーブルで食べる民宿と違うところで、離れていると何となく話づらく、夫婦以外はみんな黙々と食べていた。

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