四国遍路170万歩の旅

−定年遍路道中記−







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4月5日(月) 16日目 「復元された遍路道」  晴 

7:30宿出発…七子茶屋9:40…37番岩本寺(13:00〜30)
…佐賀町・佐賀温泉16:00着  <29.6キロ 39,507歩>

37番 岩本寺
佐賀町・佐賀温泉
 

 大坂谷から遍路道に入り七子茶屋に出るつもりで、出掛けにおかみさんに道を確かめると「添蚯蚓遍路道」が復元してからその道はほとんど使われていないと言う。それに「○○が多いところですよ」と言われた。
 ○○が聞き取れずにいると岡山の人が、こちらの方言で「マムシのことですよ」といったので直ちに予定を変更、そえみみず遍路道」に向かった。

 この変わった名前は1700年ごろの文献に、道が左右に曲がりくねって前に進むミミズの様に似ていることからつけられたという。最近復元された道で、標高409mまでの約1時間の登りと七子茶屋までのくだり30分は緑が心地よい快適な道だった。峠には古いお墓が数個さびしげに置かれていた。

 窪川トンネルをくぐり、「37番岩本寺(いわもとじ)」へ右折する標識を探しながら歩く。車が停まり運転席のおばさんが「お遍路さん、37番さんは終わったのかね」と声をかけられた。車で来た彼の記憶を頼りに地図を見ながら来たのだが、かなり行き過ぎていた。トンネルの手前の二又を右に市街地に入るのが本来の遍路道だった。

 農家の人だろうか姉さんかぶりのおばさんは、岩本寺を打ち終えた人とこれから向かう人は目配りと足取りですぐわかるといった。我々の様子を少し手前から見ていたらしかった。
四国ではお遍路さんをいつも誰かが見ていてくれた。菅笠をかぶった白装束のお遍路が今何処に向かって歩いているのか、いつも遠くから温かく見守っていてくれた。道を尋ねれば誰もが親切に教えてくれた。こんな善意のまなざしがへんろ道には溢れていた。

 山門前で托鉢をしているお遍路がいた。神峰寺や大興寺でも見かけたが人さまざま、みんなの喜捨にすがって歩くお遍路もいた。
岩本寺の天井

 岩本寺の本堂内陣の色鮮やかな天井絵は寝そべって1枚1枚ていねいに観賞したいくらい見事だった。ここで04年4月改訂のガイドブックを購入したが、へんろ道とその周辺状況の位置付けが大変わかりやすくなり、凡例も整理されていた。ただ札所やポイント間の距離を示した図や、地図の余白に書かれたいわれや資料は、そのまま残して欲しかった。

 窪川局で不要になった荷物を一部自宅に送った。4月に入りウインドブレーカーや予備の長袖は着ることはなく、ガイドブックの改訂版を買ったので重たい四国道路地図もいらなくなり、溜まった案内図やパンフレットの紙類は重くかさばるだけだった。出かける前にザックの重さを測ったら6.5kgだった。1kgまではいかないが少なくとも0.5kg以上は軽くなったはずだ。
 
37番 岩本寺
佐賀町・佐賀温泉
 岩本寺から足摺岬の金剛福寺までは約87キロ、札所間では一番長い距離だ。中村街道を窪川町と佐賀町の境である峰の上まで長い坂道を登っていく。峠越えのへんろ道を行く予定だったが見落として片坂第一トンネルまで来てしまったのでこのまま行くことにした。前にいたはずの岡山の彼は、途中食事を取りこの時は私の後ろを歩いていたらしい。私が見落とした時に後ろから大声で叫んでくれたそうだが気づかなかった。峠越えした彼より30分以上も遅れて佐賀温泉に着いたが、彼は心配して宿の玄関で待っていてくれた。明日は早発ちをするという。道中お互いの無事を祈って彼との2日間の旅は終わった。
 佐賀温泉は物産センターとレストラン・大宴会場に宿泊施設を備えた天然温泉だった。今日は大安で大広間では結婚披露宴の真っ最中でカラオケががんがん響いていた。明朝8時の朝食までは待てないので、おにぎりをお願いして支払いを済ませてのんびりと温泉につかった。

 足のマメもすっかり固まり嘘のように痛みがなくなった。荷物もわずかだが軽くしたが、もっと軽くなったのは体重だった。歩き出して1週間目ぐらいから段々とお尻の肉が落ち、次にふとももとふくらはぎが細くなっていくのがよくわかった。
 10日目の奈半利で測った時に75.6kgで、強烈な有酸素運動とはいえ、こんなに一気にダイエットとは思わなかった。
 81.8kgが家を出るときの体重だから約6キロ減で、ちょうど背負った荷物6.5kg分がなくなったことになる。
 足にかかる負担が大幅に減り平地を歩く姿勢が前かがみから、かかとで歩く姿勢になったのが足に良い結果をもたらした。
 筋肉痛はもう常態として、足に出来た湿疹がふくらはぎから内股のやわらかい部分まで広がってきたのが気になるだけで歩くには全く不安がなくなった。

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