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3月26日(金) 6日目 「阿国大龍嶽に登りよじ」 快晴 | ||||||||||
7:30宿出発…20番鶴林寺(8:15〜40)…21番大龍寺(11:00〜12:00)…22番平等寺(14:45〜15:00)…新野町・民宿山茶花15:00着 <23.8キロ 31,782歩> |
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「一に焼山、二にお鶴、三に太龍寺」といわれる難所越えがいずれも快晴とめぐまれた。 6時半に朝食、今年は2月から原因不明の鳥のインフルエンザが流行り、京都・山口・大分で大量のニワトリが死んだ。いつもならなんとも思わない生卵がなんとなく気になり…ゆで卵や卵焼きがでるとほっとした。 7時過ぎに宿を出たが、いつも歩き始めは筋肉痛で足がロボットのようにぎごちなく、歩くリズムがなかなか取れなかった。 今回山越えのコースは麓の宿に泊まり、朝一番で山に向かうように行程を組んだ。初めての山道はやはり不安で、泊まれば何人か歩きのお遍路さんがいるだろうし、一緒に登らなくても前か後に人がいると思うだけで安心感があった。 難所という意識が強かったせいか、確かにきつい登りだったが、思ったほどではなく70分で標高500mの「20番鶴林寺(かくりんじ)」に着いた。この道は地元の人たちが毎年補修をしていると聞いたが、本当に歩きやすい整備された山道だった。 樹齢一千年はある杉の大木に囲まれたさわやかな朝の空気のなかで参拝し、すぐに山道をくだった。 途中、今は民家の庭先となっている昔のへんろ道を通って那珂川までおりた。寝る時に本堂前の「鶴伝説」の肝心のお鶴さんを見逃したのに気付いた。 |
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「21番太龍寺(たいりゅうじ)」へは那賀川の橋を渡り、舗装した道をゆるやかに登り、途中から山肌に沿ったきつい山道を登る。遠くの山の頂に今来た鶴林寺が見えたが、あそこからちょうど2時間半かかったことになる。 弘法大師が書いた「三教指帰(さんごうしいき)」に「阿国大龍嶽に登りよじ」と書かれた、大師が19歳の時、100日間の山岳修行をしたという“舎心ヶ嶽”に登りたかった。 本堂前の急な階段をおりるとロープウエイの山頂駅がある。駅の横から舎心ヶ嶽への参道
元来た道を太龍寺に戻り、ベンチに座りおにぎりを食べた。西の高野と呼ばれるだけにたくさんのお堂をもったスケールの大きいお寺だ。杉や桧が茂る広い境内には数人のお遍路さんがいるだけだったが、ロープウエイが着いて団体お遍路さんが降りると静かな境内はいっぺんににぎやかになった 舎心ヶ嶽や昼食にたっぷり1時間かかったので、一緒に登ってきた野宿組はみんな先に行ってしまった。 標高500mの太龍寺からの長いだらだらした車道を、膝が笑いそうになりながらおりると、民宿の坂口屋・龍山荘の前に出た。平等寺から先はJR由岐駅か日和佐駅付近まで宿はなく、二十番から二十三番までは何処に宿をとるか日程を立てるのが難しいところだ。そのためか遍路対象の宿にしては両方とも大きな民宿だった。 国道195号線を横切り、火見櫓のところから再び山道に入った。大根峠は288mと高さはないが階段の連続で結構きつかった。 |
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「22番平等寺(びょうどうじ)」は田園風景のまだ残る広々としたところにあった。まだ15時だが今夜の宿、寺のすぐ隣の喫茶山茶花に入った。焼山寺の登りから前後しながら歩いてきた野宿組はこの先の無料宿泊ハウスに泊まるという。彼らは鴨島のクアハウスの善根宿でもらった寺の通夜堂、善根宿、野宿可能な駅・バス停・公園・東屋などが書かれた「歩き遍路の無料宿泊所一覧表」を見ながら歩いていた。
翌日また会えると思ったが、彼らとはもう会うことはなかった。寒くて寝ていられず皆5時前に出発したらしい。広島の中野さんは今回は薬王寺まで、秋に休暇がとれたら高知から再開すると言っていた。埼玉の学生さんは3月末までに行ける所まで行って、あと2年の学生時代に全部終えたいと言っていた。用事で一旦帰ってまた出直すと言う千田さん。1月に17番まで来たが足を痛めてギブアップ、今回再チャレンジしている高松のお寺の息子さん。 初めての不安だらけの時に支えてくれたへんろ仲間たちだった。 |
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山茶花は食堂兼喫茶店でおかみさんがひとりで切り盛りしていた。そこのお座敷が今夜泊まる部屋だった。歩き2回目で明日の薬王寺で一旦帰るという大阪の年配女性の2人づれ、ご主人は2回目で今回は奥さんと一緒に通し打ちをするという小浜市の老夫婦とテーブルについた。 漫才の宮川花子さんのような、ものすごくおしゃべりでものすごく明るい大坂の女性の体験話を聞きながら楽しいひとときを過ごした。今日も無事で歩けたと思って食べるご飯は本当においしかった。 明朝この女性から「マスク持って来ました? 私は明日でお終いなので使ってください」とマスクと足マメパットをいただいた。これから先の国道はトンネルが多く排気ガスがものすごいらしい。 山野さんも然り、同じ道を歩き、同じ苦労を乗り越えてきたお遍路の先輩達は、みんな親切に初めてのお遍路にアドバイスをしてくれる。ありがたくお接待をお受けした。 |
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