高島克規のインド日記
10月2日(土) インドのマクドナルド
  インドに赴任する前にはインドに「マクドナルド」などない、と思っていた。赴任して1か月ほどして近隣の大きなショッピング・モールや、ムンバイ市内に行く機会があり、「マクドナルド」の看板を見つけ「ああ、インドにもマクドナルドがある!」と感激したものである。
  1996年秋に「マクドナルド」はインドに進出した。1991年頃からインドへの進出計画<注>が検討されていたそうだ。インドにおける「マクドナルド」は、現在34店舗あり、今後2年間で店舗数を80にする方針、との発表があった(2002年3月4日付日経新聞朝刊)。この数字はかなり前なので印象からすると、現在ではインドには200以上の店舗があるような気がする。大きなショッピング・モールには必ず入っていると思えるほどである。  4月初旬にデリー・アグラへ旅をしたがアグラに1店舗、ニューデリーで2店舗みかけた(デリーの飛行場にも1店舗。「タージ・マハール」の町「アグラ」に突然現れた「マクドナルド」。町の景観から奇異に映った。
デリー空港内マック
  ニューデリーでは4年ほど前まで「マクドナルド」は1店舗であったのだが、あまりの盛況ぶりに“人気インド料理店”の土地を買収してまで店舗を新設した、そうである。ニューデリーに「マクドナルド」が2店舗誕生したことになるが、どちらも海外からの観光客に大盛況である。ちなみに私もその1店舗で食事をしたが若者、ビジネスマンなどで満席で、席待ちを余儀なくされた。
  インドは国民の8割前後がヒンドゥ教徒。ヒンドゥ教徒にとって牛は「神聖なる牛=Holy Cow」である。インドの「マクドナルド」には「牛肉バーガー」は100%存在しない!また 約1億人といわれるイスラム教徒にも配慮して豚肉も排除。
  よってインドは、世界初の牛肉・ブタ肉を使わない店である。ハンバーガーの具は、ラム(羊肉)、鶏肉、白身魚、野菜コロッケ、の4種類を設定している。
 ビッグマックにかわるインドのオリジナルメニューは、チキンのパテを2枚使ったチキンマハラジャマック。ほかにインドらしいカレーソースを使ったチキンマックカレーパンなどである。またベジタリアン用のメニュー(Veg menu)を用意したり、卵を使っていないマヨネーズやインド人好みのスパイスを使ったりと、インドならではの工夫もある。だが味はとても日本人には食べられたものではない。特にVeg Menuなど頼んだらとんでもないことになるのではないかと想像している。
チキンマハラジャマック
  5月末、友人夫妻がムンバイに来られた時も市内の「マクドナルド」で食べたが、無言であった。「まずい!」ということではなかったのか?さて、値段であるがインド人の物価水準・所得水準からすれば決して安くない。
 ちなみにインド人の人気メニュー「チキンマハラジャマック」+「ポテト」+「ペプシ・コーラ」のセットが120ルピー(約240円:ムンバイ市内の店)である。私が毎日会社で食べるランチ(インド食)の25ルピー(約50円)と比較すれば5倍になってしまう(蛇足だが前回ご紹介した「ミール・クーポン」は「マクドナルド」で使用できるのでとても便利)。とても普通のインド人が毎日食べられる値段ではない。ところがいつも中上流階級のインド人で混んでいる。
  友人夫妻と市内の「マクドナルド」で食べていると高校生と思われる男女が20人ほどで入って来た。そんなに小遣いをもらっているのか??驚いた次第である。
  携帯電話を持つ人も多く、ここは貧富の差を身近に感じる場所でもある。マクドナルドの入口にはドアマンが常駐している。マクドナルドの周りには乞食も多く、貧富の差を身近に感じる場所でもある 。
マクドナルド
(写真をクリックするとスライドショウをご覧いただけます)
  デリーでもムンバイ市内の「マクドナルド」は海外からの観光客に大盛況である。インドの料理店は、インド人にとってはそれが当たり前なのかもしれないが、外国人(日本人)の視点からすれば衛生的に清潔とはお世辞にもいえない。「マクドナルド」に行く海外の観光客からは、「マクドナルドは良い選択だ。インドの普通のレストランに比べたらかなりとても衛生的なので食中毒になることはまずないし、お客さんの回転も早いので食材も新鮮。ここのチキンなら安心して食べられる。」「「ケンタッキーフライドチキン」も、「マクドナルド」と同じようにオススメ。海外の支店よりもインドの「ケンタッキーフライドチキン」は大味だという声もあるが、美味しくて清潔なのは確か」との感想が多く聞かれる。個人的には「マクドナルド」よりも「ケンタッキーフライドチキン」の方がお勧めである。
  また、「マクドナルド」が海外からの観光客たちの避難場所と化し、ちょっとした問題となっている。観光客たち(特に欧米からの人たち)にとって、インドの猛暑、砂埃、糞尿の刺激臭から逃げるすべは、外資系の飲食店に入るしかない。外国人である私にはよくわかる気がする。
  ヒテーシュさん、アニタさん、シミちゃんと大きなショッピング・モールに入っている「マクドナルド」へ行ったことがある。牛肉が使ってあるので日本の「マクドナルド」には行ったことはないと思うのだが、インドの「マクドナルド」ではVeg.Menuを注文して表現は悪いが「バクバク」とハンバーガーを頬張っていた。「とても美味しい」との感想である。やはり日本人の我々とは味覚が違うようである。味覚は違うがアメリカン・スタンダードがインドのスタンダードになりつつある。
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