高島克規のインド日記
9月24日(木) ムンバイの買物場所
  今回はムンバイでの買物場所について触れてみたい。インドに赴任する前はまだ開発途上国なので日本のようなショッピング・センターなんてない、と勝手に思っていた。ところが驚いたことにかなりの数がある。以下の表(大型店舗のみを記載。実際には20以上のショッピング・モールがあると思われる)をちょっとご覧いただきたい。



         (右の路線地図の駅名参照) ⇒
路線地図(写真をクリックすると拡大できます)

名称 場所・広さ
(平方フィート)
特長
(1)
In Orbit
Malad (W)
6,50,000
(18,000坪)
ムンバイ最大
ここは大規模で、顧客層もアッパークラス。東南アジアあたりによくあるショッピング・モールと遜色ないくらい。ショッパーズストップ、Life Styleのほか、アメリカ系のハイパーマーケットもあり、各種専門店も入っている。2Fにスポーツショップもあり、ゴルフボール、バッグなどもある。
(2)
Growell
Kandivali (E)
5,00,000
(14,000坪)
ムンバイ2番目クラス
繊維会社Phoenix Millグループが建設した大きなショッピング・モール。Big Bazaarという大型のスーパーマーケット。インドで売っているものが一覧できるのがとても便利。個人的にはステンレス雑貨のコーナーがお勧め。小さなボールやプレートは調理の下ごしらえ用に便利。
(3)
Neelkanth
Santacruz (W) 3,00,000
(8,000坪)
.
(4)
Emgeen
CST Road, Kalia Windser
3,00,000
.
(5)
Oberoi Mall
Goregaon (E)
3,00,000
毎日の通勤経路である高速道路沿いにある。会社から車で10分ほどで行ける。
(6)
Hi way Mall
Goregaon (E)
3,00,000
.

  この表から大型のスーパーマーケットが全てムンバイの郊外・北部にあるということがわかる。更に言えば私の住んでいるボリバリから近い処にある。ムンバイ市内には大きなスーパーを建設する場所がないので北部・郊外に、ということになったと想像される。しかし、アクセスが問題である。バスなどが上手く通っている訳ではない。ではどうするか?車での来客を想定しているのである。勿論、リクシャーで来る客もいるが見ていると自家用車で来る客が多いのである。これは意外であった。
In Orbit(イン オービット) 写真をクリックするとスライドショウがご覧になれます
  この日記を開始したころ食べ物に窮してヒテーシュさんに連れて行ってもらったのが(1)In Orbitである。肉(牛肉は厳禁)などヒンディー教信者が食べることが出来ない食物はこの中に入っているSpencer’sというスーパーで購入できる。「そば」などの日本食も日によっては入手することが出来る。ただし、非常に高い。
  例えば「揖保の糸」は350ルピー(約700円)である。私の床屋の値段が30ルピー(約60円)である、ことから考えれば非常に高い。一般庶民からすれば値段が非常に高いのにインド人家族、若者で一杯なのである。貧富の格差がどんどん広がっているのではないだろうか?
  (5)Oberoi Mallは家内、友人ご夫婦が来た時に案内した。インド料理を中心に各国料理のレストラン(残念ながら日本食レストランはない)、マクドナルド、映画館、本屋などが入っていて日本にいると変わらない雰囲気を楽しむことが出来る。この中にもスーパーは入っているが、ここでは肉などは入手することが出来ない。
  酒・ビールもスーパーで購入できるが、面白いことに酒類はすぐその酒売場で現金で支払らわなければならないのである。他の品物はあとでレジで精算することになる。家内も友人のご婦人もここで靴などを買ったがインドでは珍しく値引き交渉が不成立の場所である。
Oberoi Mall(オベロイ モール) 写真をクリックするとスライドショウがご覧になれます

Reliance(リライアンス) 写真をクリックするとスライドショウがご覧になれます
  さて上記のお話は特別な物(肉、日本食など)を買う時の話であるが、日常生活はどのようにしているかである。大半は週末に隣村カンディバリにあるスーパー・チェーン「リライアンス」に行って購入している。隣村まで2キロくらいなので片道は歩いていくことが多い。帰りは買った荷物があるのでリクシャーで帰ってくる(20ルピー:約40円)。ここはこじんまりしているが「リライアンス」金融グループ(注)が経営しているスーパーで少し値段は高いが品物はとてもいい。それに店員の教育も行き届いている。驚いたことに2月に家内と一緒にここで買い物をしたが、5月下旬に買い物をした時、覚えていてくれたのである。このようなことがあると、「また行こう」という気になる。
  以前に私の給与にはミール・クーポンがある、と説明したことがある。このミール・クーポンは現金と同じ機能がある。ミール・クーポンの使用可能な店舗(店の前にミール・クーポンの写真が貼ってある)で買い物(ただし食べ物だけで靴とかシャツとかは対象にならない)をするとその金額に見合ったミール・クーポンを払えばいいのである。ただしお釣りは返してくれないので注意が必要である。例えば35ルピーの品物に50ルピーのクーポンを出すと15ルピーのお釣りは返ってこない。このミール・クーポンは給与所得とはならず非課税の給与ということになる。上記の高級スーパー、一般庶民のスーパーも内部での写真撮影は禁止されていて皆さんにお見せすることが出来ないのが残念である。
ミール・クーポン
インド料理

  スーパーは買い物をした後、簡単に外に出ることは出来ない。レジでもらったレシートを出口で警備員に提示する。警備員はそのレシートに記載されている品物を一つ一つチェックして問題がないと判断するとレシートにスタンプを押してくれる。やっと解放、外に出れる仕組みである。日本でこんなことをしていたら苦情が出てしまうだろう。        
  更にウィーク・デイにミネラル水、ミルク、パンがなくなったとかいうことになると近くの小売店に行くことになる。歩いて5、6分であるから便利と言えば便利であるが問題は言葉である。
  全く英語を話さない。値段もスーパーなどと比べると割高のような気がする。本当にジェスチャーの世界になる。ただし、最近では行く店も決まっているし、買うものも決まっているので店主も行くとミルクだのパンだの自動的に渡してくれるのだ。
  私の暮らしている周辺は日本の30年くらい前の姿、と思っていただけばいい。
地元商店
  しかし周辺にはどんどんスーパーマーケットが出来てきている。あと10年もしないうちに小売商店はなくなり村の様子が一変するのではないだろうか?
  それはいいことなのか悪いことなのか私にはわからない。だが流れは止めることは出来ないであろう。
目次に戻る