高島靖男のインド日記
月29日(日) インドの新聞
  インドに行く前から楽しみにしていたのが新聞TVである。今回は新聞についてご紹介しようと思う。
 とにかく種類が多いのに驚く。そして値段が安い。 一番発行部数の多い「The Times Of India」 <注>は「Mumbai Mirror」とセットで4.5ルピー(約9円)である。

 「The Times Of India」はオール・カラー刷りで26ページである。ちょっと信じられない安さとボリュームである。

The Times of India

  日本を出る前、本を読んだりするとインドは親日であり、日本からの政府関係者が訪問してとても友好的である、と記載されていたので日本の記事も掲載さているのだろう?と期待していたが殆ど記載はない。アジアであればむしろ北朝鮮、韓国の方が記事が多いのである。さもありなんであるが、日本からJALはデリーにしか飛んでいない。韓国航空はデリーにもムンバイにも直行便を持っている。
   またインドの新聞の紙面は、パキスタン、スリランカの記事が多いことである。次いで中東である。前にもインドはアジアではなく中東に近い、と書いたことがあるがまさにその通りであろう。更に、タリバンを始めとしたテロについての記事が紙面を大きく占領している。

  上記は一般紙の話であるが、経済紙としては「The Economic Times」が有名である。非常に英国の「The Financial Times」に似た体裁、構成となっている。20ページで2.5ルピー(約5円)である。

The Economic Times

  これには流石に日本の記事も少しだけ出てくる。ちょっとうれしくなる。しかしながらインド経済を中心に米国、欧州の経済を記載している、という印象が強い。やはり、日本の影は薄いのだ。
  日本にもある、タブロイド版の新聞がある。一番有名なのが「Mumbai Mirror」である。経済記事も一部掲載されるが、一般ニュースの裏ネタ、スポーツ、芸能といったものである。テレビ欄に黒澤監督作品が放映される、と掲載された時は妙に嬉しかった。
 

麻生首相の記事

黒澤映画の紹介

  広告に目を転ずると、まず旅行であるが、旅行先として、ドバイ、シンガポール、マレーシア、エジプト、中国、香港、ロンドン、ニューヨークなどの広告が身につく。
  東京はどこにも出てこないのである。ヒテーシュさんに聞いてみた。
  「旅行先として東京は出てきませんね」「昔からそうです。一番身近な旅行先はドバイなんです。次いでシンガポールでしょうか。インドから近くて安い。買い物も出来るからです。
  東京が出てくることはまずありません。物価が高いことと、言葉が日本語だけ、これが大きな理由です。
  行く人が少ないのでツアーを組んでもコスト高で旅行代理店も儲からないようです。オーストラリアも意外と広告は少ないのです」との回答であった。インド人が日本をどのように見ているのか、垣間見る思いである。

旅行広告(写真をクリックすると拡大します)

  次いでであるが、流石に日本の車(SUZUKI、HONDA、TOYOTA)の名前が出てくる。不思議なことに値段の表示が全くないのである。ヒテーシュさんに聞いてみた。「インド人はすべて交渉で買うのであまりハッキリ値段を書いておくことはないのです」とのこと。でも。目安くらい書いていてもよさそうではないでしょうか?
  不動産、これは東京より高い。たまげてしまうのであるが事実である。流石にこれには目安となる値段表示はあることはある。

  ただし、ヒテーシュさん曰く、あくまで目安であって値段は決まっていない、と考えた方がいい、とのこと。我々日本人はすぐ騙されてしまいそうである。
不動産広告
  面白い広告は日曜日に掲載される。「結婚広告 Matrimonial」である。
  自分の経歴を掲載して花嫁、花婿を見つける、というのである。
  ヒテーシュさんと奥さんのアニタさんはこの方法で結婚したそうである。ちょっと日本では考えずらい方法である。

  さらに面白いのは、初婚、再婚に分かれ、カースト制で別れ、言語で別れ、国籍で別れ、宗教で別れているのである。よりどりみどり??

結婚広告(写真をクリックすると拡大します)

 

  新聞の折り込みについてであるが、毎日、各種のチラシが折り込まれている。「ピザ」から「塾」{ヨガ}「学生ローン」までさまざまで日本と一緒である。傑作なものを一つ紹介しよう(写真ご参照)この広告はアニタさんが見つけた。朝、アニタさん、ヒテーシュさん、私は大笑い。入試でも何でも商売にしてしまうインド人に舌を巻く。  

さあ、高校入試試験も終わった
  出来た人も、そうでない人もいるでしょう!
 

   高校入試試験会場の入場券を持ってくれば 
   遊び放題でなんと200ルピー(約400円)


   さあ、Essel Worldへ行ってみよう!
  Water Kingdom でも同様にお取り扱いします。

<注>Essel World、Water Kingdomは日本の豊島園、後楽 園のような遊園地

  最後に新聞はどんなところで売っているのかご紹介したい。地面に無造作に置かれたもの、粗末な台の上に置かれているもの、駅の売店で売っているもの、本当に様々である。  
地面に無造作に置かれたもの

粗末な台の上に置かれたもの

駅の売店で売っているもの


  大抵の人は自宅にデリバリーしてもらっていないようだ。私はいつも地面に無造作に置いたおじさんから買っている。彼も私のことを覚えていてくれたのだろう、行くと何も言わないのに「The Economic Times」と「TheTimes Of India」を渡してくれる。

  明日は日本の記事は載るのだろうか?日本の影は薄い!
目次に戻る