高島靖男のインド日記
3月8日(日) ムンバイの見どころ(その2)
<ムンバイの見どころ>
 前回に引き続きムンバイの観光スポットをご紹介する。

(4) ハンギング公園
 チョーパティ海岸から道沿いに丘を登っていくと、このハンギング公園に到着する。
 正式の名称はPherozshah Mehta Gardensと言うらしいが、一般的にはハンギング公園と呼ばれている。
 名前のごとく吊天井のごとく丘の上にあるからそのように呼ばれているのであろう。
 この一帯は政府高官、迎賓館はある場所でヒテーシュさん曰く、ムンバイで一番地価が高いところ、とのことである。
ハンギング公園
 
 ここから見る夕日は最高である。接待には最高、ということなのであろう。
 この丘を登る道すがら何故か日本の熱海の風情を思いだした。とても不思議な錯覚に陥った。
 どの家も立派、また近所のレストランもインドとは思えない、立派なものばかりであった。
 ここからは「女王のネックレス」といわれる市の西側にあるナリマン・ポイントからチョウパティー海岸への海岸通りの弓形の海岸が首飾りのように見えて最高である。
ハンギング公園からの眺望
 ここでも写真を撮っていると、写真集を売りにきた男性がいる。いくらだと聞いた。「200ルピー」と言う。そのあとの展開は予想が出来たので取り合わなかったが、写真集の販売マニュアルでもあるのだろうか?必ず「200ルピー」から始まる。

(5)ジュフ海岸
 日本では全く知られていないが地元の人には人気のある海岸がこのジュフ海岸である。市内から車で40分くらいの場所である。ここは物乞のメッカと言ってもいいほど、物乞が多い。そのうえシツコイのである。海岸に到着して家内と二人で海辺に向かって歩き出した途端である。
 小さな子供をかかえた女性(20歳くらい)手を出してどこまでもついてくるのである。とうとう海まで付いてきてしまった。ここでお金を上げたりすると仲間まで出てくる可能性もあるので徹底的に無視することにした。
ジェフ海岸(1)
 やっと離れたと思いきや、今度は写真を撮る商売の若者である。こちらの若者もデジカメを見せて「必要なし」、といくら言っても離れないのである。
 これではたまらないと海からホウホウのていで車に逃げ帰った。よく生徒が「海に行きたくない。物乞が多いから」という説明に大いに頷いた次第である。
 家内がトイレに行きたいと言い出した。浜辺にはトイレはあるが有料である。女性用の方へ行った。ところが入口が閉鎖されている、と家内が言うので男性用の入口で聞いてみた。何と男性用の中を一部、女性用にしているとのことである。
 従って入口は男性用入口から入ることになる。しかも男性は2ルピーであるが、女性は4ルピーだと言うのである。何とも理由がわからぬ不思議な料金設定である。
 ちなみに自分も男性用で用を足したが、臭いことおびただしい。しかも手を洗う水は出ないのである。これで2ルピーとはひどいのではないか!
ジェフ海岸(2)
 最後にインド人の値段交渉について、をご紹介したい。前日、車で走っているとき、家内が「こことても面白いね」と言うので車窓から外を眺めた。確かに沿道の片側は靴屋がズラッと、数十件並んでいるのである。アメ横的な雰囲気である。
 運転手さんに駐車するようお願いして、まず靴屋ではなく近くのカバン屋に入った。2500ルピーと値札が付いているカバンを家内は気に入ったようである。私が値段の交渉をした。
 「いくらになる?」と値引きを持ちかけた。若い女性の店員は「主人に聞いてきます」と言って、ほどなくして戻ってきた。
 「2200ルピーならいいと主人は言っています」と言う。「OK」と二つ返事で買うことにした。 傍で運転手さんが首を振って、苦虫を噛み潰したような顔をしている。
 店を出ると「今度は俺に値段は交渉させてくれ」というような事を言っているらしい。
 靴屋に行った。家内の気に入った靴があったらしい。「650ルピーだ」と店ではいう。家内が「もう一つ、色違いのもあるか」、と聞いた。店と言っても屋台に毛が生えたような店がズラッと並んでいるのである。
 在庫なんかあるの?と思っていると後に積み上げた荷物の中から次々といろいろの色、サイズを出してくる。
 その手際の良さは寅さんの映画を見ているようである。さて値段の交渉になった。
 単純に考えれば650ルピーが二足であるから1300ルピーである。
靴屋の屋台
 運転手さんは、家内が「買う」という靴を眺めまわし、こねくりまわし、叩いたり引っぱったりし出した。ヒンディー語だから、よくはわからないが店の方は二足で900ルピーと言ったようである。すると急に運転手さんは我々を連れて帰りだした。
 すると「800ルピー」と言う声が店の主人から出た。「OK、800ルピー」ということになった。インド人の交渉術とはこういうものか、と感心して改めて運転手さんの顔をしげしげと見てしまった。
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