ドクター塚本 白衣を着ない医者のひとり言 | ||||||
|
||||||
Google検索にキーワードを入力すると関連するページを見ることができます。 |
||||||
|
||||||
ダイエットdietは、もともと日常的な食事のことですが、いつの間にか治療・体重コントロールのための規定食や食事療法のことを指すようになり、さらに運動療法、行動療法なども加えた総合的な肥満改善策のことを言うようになりました。摂取カロリーを減らし、消費カロリーを増やせばよいことは誰しも知っていることです。「栄養過多と運動不足」がメタボリック症候群の原因ですから、その逆をやればダイエットになるのです。しかし、「ダイエットに王道なし」という名言があるくらいで、そのハウツウは簡単ではありません。 まず私流のダイエットの基本方針は次のとおりです。 @ スローなダイエットを目指す。体重減少を維持し、リバウンドさせないためには「長期戦」で臨み、短期間の体重増減に一喜一憂しないこと。 A 「単品」ダイエットは成功しない。有名なこんにゃくはもとより、りんご、パイナップル、たまごなど、一食品重視型はバランスのある栄養摂取に反していること。 B 継続可能な無理をしないダイエットを心がける。日常の活動に支障を来たし、仕事に対する意欲・気力の減退を招くようでは意味がないこと。 C スポーツ・ジムへ通うことだけが運動ではない。毎日の日常生活で上手なカロリー消費に務めること。 D 「飲むだけダイエット」などは論外で、薬剤、サプリメントに頼らないこと。 要するに、「ダイエット 成功すれば 周りから 病気ですか?と 心配された(森本耕史 日経歌壇05年8月28日)」ということにはならないよう注意したいものです。 そこで正しいダイエットの具体的なハウツウとして、2つのヒント、T「グラフ化体重日記」と、U「エクササイズガイド・2006」をご紹介することにしましょう。 この手法は次第に普及して、2004年にはNHKの人気番組「ためしてガッテン!」や「暮らしの手帖 13号〜15号」にも紹介されました。名付けて「体重計でダイエット」です。坂田教授の原法そのままでは、忙しい勤務者には一日4回も測定することはとても無理ですし、かえってストレスになりかねません。今では、起床時と就寝時だけなら測定可能なので2回方式がお勧めです。体重計(50g単位で測れるものが望ましいとされていますが、市販されているのは100g単位です)とグラフ用紙さえあれば続けられるのがミソです。これに加えて、横浜市立大学・栃久保修教授は、朝と晩の体重の差を600g以内におさえるよう努力し、少なくとも毎日8000歩以上歩くよう指導しています。暮らしの手帖には4人の5ヶ月にわたる実体験がグラフ入りで報告されています。4人の結論は、「毎日2回測る。それが成功のひけつ」、「毎日少しずつやせる。それが健康のひみつ」でした。肥満でもメタボリック症候群でもない私も実践してみましたが、1日の体重差600gは当初ちょっと厳しいと感じたものの、ゆっくりよく噛む習慣が身について胃が小さくなるのが実感できて、食事の量も少しづつ減り体重も間違いなく減少しました。 次は運動不足解消の目安です。厚生労働省は今年の7月に、1年かけて「健康づくりのための運動基準2006」を策定しました。この基準がこれまでの対策と大きく違っているのは、特別な運動ではなく、日常生活の活動(生活活動と呼んでいます)を増やして目標を達成しようという点です。この基準を広くわかりやすく伝えるために、具体例やアドバイスを盛り込んでまとめたものが「エクササイズ2006」です。 その内容を要約しますと、われわれが体を動かす「身体活動」を、「生活活動」(仕事や家事、通勤、通学、趣味などいわば日常生活の活動です)と「運動」(体力を維持・増進させる計画的・意図的に行ういわば運動のための運動です)に2分類したうえで、それぞれの活動量を「エクササイズ(Ex)」という単位で表すことにしてあります。運動生理学では、身体活動の強度を表現するのに座位安静時の何倍のエネルギーを消費するかを示すメッツMET(Metabolic equivalent)という単位を用います。普通歩行20分が3メッツというのは、座位安静時(1メッツ)の3倍のエネルギー消費をするということです。ガイドラインには、3メッツに相当する1Ex以上の活動が例示してあります。詳細は、厚生労働省ホームページを見ていただくとして、その一部を表示すると次のとおりです。 (http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/index.html) 1エクササイズの身体活動の例 生活活動 運動 普通歩行 20分 軽い筋力トレーニング 20分 掃除機をかける 17分 バレーボール 20分 床みがき 16分 ゴルフ 18分 速歩 15分 水中運動、卓球 15分 自転車に乗る 15分 バレエ 13分
このようにExを単位にして、1週間に「23Exの生活活動」を行うのが生活習慣病予防に必要な活動量の目安です。1週間で23Exですから、1日では3Ex程度ということなりますので、それほど難しい目標ではないでしょう。さらに、23Exのうち、4Exを「運動」で実行するとより効果的だとしています。また、続けるためには「自分の生活スタイル」に合わせて柔軟に、小刻みに僅かな空いた時間の「ちょいスポ」のすすめもしています。 以上2つをヒントにしていただいて、自分なりの健康、自分らしい美しさ、暮らし方が見つかるよう、自分流のダイエットを始めてはいかがでしょうか。 <参考文献> 坂田利家編集:「肥満症治療マニュアル」、医歯薬出版(株)1996年 「暮らしの手帖」15号「体重計でダイエット」2005年4月 今年一年、「白衣を着ない医者のひとり」とお付き合いいただき有難うございました。どうぞ輝かしい良い新年をお迎えくださるよう心からお祈り申し上げます。 (2006年12月20日)
|
||||||
ドクター塚本への連絡はここをクリックください。 |