ドクター塚本 白衣を着ない医者のひとり言 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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この番組は、NHK広島放送局がキー・ステーションになって制作されていますが、自立して健康な生活を営んでいる百歳長寿者を紹介することにより、高齢社会の生き方を涙と笑いとともに伝えていて、視聴者から好評を得ています。放送はまだまだ続いて長寿番組になること請け合いですが、遂に、先月には「百歳バンザイ!」という本も出版されました(講談社)。実は、それほどお元気な百歳長寿者が大勢おられるのが今の日本です。 先月の敬老の日を前にして、厚生労働省から発表された資料「平成16年 百歳以上長寿者について」から、その実態を要約してみましょう。(発表の数字は、各年とも9月30日時点における年齢を基礎として、百歳以上の者の数を計上していて、調査時点は、各年とも9月1日現在のものです) まず、百歳長寿者は昨年に比べて2,477人増加して、23,038人となりました。その性別、年齢別状況は次のとおりです。
つぎに百歳長寿者の年次推移は、老人保健法が制定された昭和38(1963)年には、男女計で153人でしたから、約40年間に人数は150倍にも急増したことになります。参考までにこの間の平均寿命の伸びは、男が67.21年→78.36年、女が72.34年→85.33年で、それぞれ、ほぼ11年、13年となっています。数字のお遊びですが、百歳長寿者数の伸びの方を大きく感じるのは私だけではないでしょう。 もう少し詳しくみますと、1981年には1千人、1987年に2,271人、1992年に4,152人となり、5千人の大台突破は1994年です。その後も順調に伸びて、1998年には1万人を超え、昨2003年に2万人を超えたのはご存じのとおりです。まさに等比級数的な増加ぶりで、ほぼ5年ごとの倍々ゲーム、あるいはダブリングタイム5年とみてよいでしょう。 寿命延長についての楽観論者である「ひとり言」子の乱暴な予想では、30年後の今世紀前半には、優に百歳長寿者は100万人を超すことになります。 今回の厚生労働省の発表を見て初めて知ったのですが、今年度中に百歳を迎えられる明治37年4月1日から明治38年3月31日の間に生まれた方々、11,911人(海外在留邦人44人を含む)に、総理大臣からお祝い状と記念の銀杯が贈呈されるのだそうです。30年後にはその100倍もの方々がお受けになるのでは、お目出度さもかなり薄れてしまうかも知れません。 百歳長寿者の男女比は、昭和から平成に移る1988年頃からは、女の割合がほとんど上がりっぱなしという強い女性優位が続いています。 百歳長寿者の都道府県別状況を上位5つ(男女計)だけについてみますと、次のとおりです。
なお、男性の平均寿命第1位の長野県は、百歳長寿者数は497人で(18位)、比率は22.44で20位に甘んじています。 数字はこれくらいにしておきますが、私の下手な説明など抜きにして、厚生労働省の資料を直接インターネット検索すると、簡単に出てきます(http://www.mhlw.go.jp/から入って、「報道発表資料2004年9月」です)のでじっくりご覧ください。この辺がインターネット時代の便利なところであり、同時に間違いは書けないという怖さでもあります。 さて次なる関心事である、長寿の秘訣は何ですか、何歳まで生きるとお思いですか、という質問をしてみたいのが人情というものです。 冒頭にご紹介した「百歳バンザイ!」のまえがきで、取材班を代表してNHK広島放送局の近藤史人・担当部長も、百歳の人に会うと、自らの不養生を反省しつつ、きっと特別な健康法があるに違いないと期待するのだが、しかし、それは大抵見事に裏切られるのであると述懐しておられます。 一升酒の豪の者、カップ麺を常食にしている人、愛煙家、・・・・もいて、残念なことに我々が参考にできそうなマニュアルはないらしいと、彼はいったんは落胆しています。しかし、そのかわり驚かされたのは、ほとんどの百歳が自らの人生に確固たる自信をもって生きている、その生き様に感動しておられます。 それでは、老人病の内科医、病理学者、遺伝学者、疫学者など老人医学の専門家は、この問題にどのように取り組み、研究成果を挙げてきたのでしょうか。百歳長寿者研究の対象と言えば、沖縄県と誰しも思ってしまうのですが、どっこい、百歳長寿者がもっとも大勢居住しているのは、さきにも申しましたように東京都なのです。 そこで、都立老人総合研究所(略称「都老研(トロウケン)」です)の出番となるのですが、詳細は次回のお楽しみに。 私の若い頃には、ロウケンというのは「労働科学研究所」のことを指していたのです。老人問題を専門とする研究所はなかったからで、時代の大きな変化をいやでも感じずにはおられません。
(2004年10月6日) |
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