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1.東京の中心部に残る大正期の和風建築 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
重要文化財に指定されている木造の建物が東横線の代官山駅近くにあることを知って訪ねました。東急東横線は学生時代に毎日利用しましたので馴染み深いのですが、しばらく遠ざかっている間に沿線はすっかり変わってしまいました。代官山もヒルサイドテラス(後述)が昭和44年(1969年)に誕生したことから付近の様相が一変したところです。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
渋谷から東横線に乗ると最初の駅が代官山です。駅前広場はなくて、いきなり道路です。細い道を抜け八幡通りを左折して旧山手通りをわずか進むと交通の激しい鎗ヶ崎交差点となり、その陸橋を渡ったところが旧朝倉住宅の入口です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
門柱には何も表示がなく、左側に立っている案内板でここが旧朝倉家住宅だということがわかります。門を入って左側に受付があります。観覧料は一般が100円で、65歳以上は無料です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
旧朝倉家住宅は、戦後、社団法人中央馬事会へ売却され、その後、農林水産省に譲渡されて 昭和39年(1964年)から現在の内閣府の前身・経済企画庁の渋谷会議所として近年まで利用されてきたという経緯を辿ってきています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
画面をクリックすると経企庁時代のサインに替わります | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
平成16年(2004年)には、東京の中心部に残る関東大震災以前に建設された大正期の数少ない貴重な和風建築であることから重要文化財に指定されました。現在、所有者は文部科学省(文化庁)で、管理団体は渋谷区となっています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
建物内の写真撮影は可能です。私はこの2年間で3度訪れていますが、いつも訪問者が少なく、一度は私一人だけで、この大きな邸宅をわが家のようにゆっくりと見学することができました。 |
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2.当主が厳選した木材 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
旧朝倉家住宅は、大正から昭和にかけて東京府議会議長や渋谷区議会議長を歴任した朝倉虎治郎氏が朝倉家の本宅として大正8年(1919年)に建てた大正ロマンの雰囲気を残した木造2階建ての建物です。朝倉家は明治初年に精米業を創業し、個人営業の白米商として東京一の規模を誇り、米穀販売に加えて不動産業にも拡大して発展してきました。 |
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建物は旧山手通り沿いの南西斜面を利用して建てられ、母屋は敷地の中央に位置し、母屋の西には土蔵、東には車庫(付随屋)という構成になっています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
母屋は木造2階建て、部屋のほとんどが畳敷きで、屋根は瓦葺、外壁は下見板張り、一部が漆喰塗りとなっており、明治以降に建設された大邸宅の特徴を表している建物です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
玄関の左手の応接間は、南と西の二方が庭に面した12畳半の明るい部屋です。縁先のガラス戸のレールが金属ではなく堅い木を使っているのが注目されます。江戸東京たてもの園(小金井市)の前川國男邸のレールも木製ですが、これは戦時中で金属が使えなかったための苦肉の策ですが、朝倉家の解説によると「鉄錆による汚損がなく、一つ一つのレールが短かったため交換も簡便だったため」となっていました。1階の中央部は、朝倉家の主人の寝間、中の間、仏間があったとされていますが、経済企画庁時代の第一会議室として絨毯敷きの洋間に改装されたままで、かつての面影はありません。別棟の附属屋(車庫)は、創建当時の姿に復原されたようですが、第一会議室は朝倉家の中枢部分ですから、是非とも復原してほしいものです。 |
朝倉家住宅スライドショー(1) |
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大きな石灯籠や手水石の置かれた庭の西側には、当主が陳情などの来客の応対に使った3部屋の杉の間と茶室があります。このうち南に面した杉の間は、杉材の板目を見せる工夫が施され、手の込んだ造りとなっています。床の間や長押の材は、板目の模様が美しく、当主の虎次郎氏が木材店で働いた経験を生かして自ら選んだだけあって、財力をつぎ込んで厳選した跡がうかがわれます。 1階の中庭には池や飛び石、手水鉢が配されていて、その北側には家族や使用人の部屋、食堂、台所、内玄関などが並んでいますが、こちらは公開されていません。 2階は、15畳と12畳半の書院風の広間となっていて、床の間、違い棚、北側廊下の襖絵など格式高いものです。かつては、この2階から富士山が望めたといわれますが、現在でも明るくて長い南側の廊下から前庭の樹木や細工の施された屋根瓦を身近に眺めることができます。 母屋の西側と繋がっている土蔵は外観のみ見学できます。土蔵の1階と2階に観音扉が付けられ、蔵特有の鉤が横に4列配されていて重厚な感じです。 |
朝倉家住宅スライドショー(2) |
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3.隣のヒルサイドテラスは30年のプロジェクト | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「ヒルサイドテラス」の登場で代官山は、一躍、若者を惹きつける街となりました。朝倉家住宅の敷地と渋谷区猿楽町の旧山手通りに挟まれた細長い土地に広がる集合住宅、店舗、オフィスなどから構成される複合施設が、「ヒルサイドテラス」で、「幕張メッセ」と並ぶ建築家・槇文彦の代表作です。 昭和44年(1969年)に竣工した第1期から第6期の平成10年(1998年)まで30年の歳月をかけて完成した成長する都市建築のプロジェクトとして建築界で高く評価されているものです。 旧山手通りの両サイドには、デンマーク大使館(設計:槇文彦)をはじめエジプト、マレーシア、ギニアなどの大使館が並び異国の雰囲気の建物が多く散策していても楽しい街です。また、少し足を伸ばすと西郷山公園や菅刈公園もあります。明治の初期、西郷隆盛の弟の西郷従道が現在の青葉台2丁目あたりの6ヘクタールに及ぶ広大な土地を取得し、西洋館と和館を建て、和様折衷式の造られたことからこの一帯を西郷山と呼ばれるようになりました。洋館は犬山市の明治村に移築されています。 |
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展覧会トピックス 2009.10.15 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
美術館、博物館など開催場所のURLを表記しましたので、詳細はそれぞれのホームページをご覧ください。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1.「皇室の名宝…日本美の華…」(御即位20年記念特別展) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
会 期:1期 2009.10.6〜11.3 (永徳、若冲から大観、松園まで) 2期 2009.11.12〜11.29 (正倉院宝物と書・絵巻の名品) 会 場:上野公園 東京国立博物館平成館 入場料:一般 当日券 (1期・2期とも)1300円 休 館:1期 10月13日、19日、26日 2期 なし 電 話:03‐5777‐8600(ハローダイヤル) http://www.bihana.jp/ 天皇陛下の御即位20年を記念して、皇室ゆかりの名宝を一同に集めた特別展で、これまでにない規模で公開されるということで注目されています。なお、展示作品は、1期、2期ですべて入れ替りますので、2回続けて特別展が開かれるのと同じことですから、上野に2回通わねばなりません。 |
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2.「第61回 正倉院展」(御即位二十年記念展) http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2009toku/shosoin/shosoin_index.html |
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会 期:2009.10.24〜11.12(会期中は無休) 会 場:奈良公園 奈良国立博物館 東・西新館 入場料:一般 1000円 電 話:03‐5777‐8600(ハローダイヤル) 正倉院展も、天皇陛下御即位20年を記念して、正倉院の全体が概観できるよう代表する名品66件(初出陳は12件)が出陳され、聖武天皇の后の光明皇后の真跡として名高い書聖・王羲之の模本を臨書した楽毅論も拝見できます。 |
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3.「夢と追憶の江戸…高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展…」 |
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(慶應義塾創立150年記念) |
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会 期:2009.9.19〜11.23 前期:9.19〜10.12 中期:10.14〜11.1 後期:11.3〜11.23 会 場:日本橋室町 三井記念美術館 入場料:一般 1200円(70歳以上 900円) 電 話:03−5777−8600(ハローダイヤル) http://www.mitsui-museum.jp/index2.html 福澤諭吉の門下生の高橋誠一郎は、経済学者である一方、慶應義塾塾長代理、文部大臣、東京国立博物館館長などの教育文化関係の要職を歴任されました。さらに浮世絵研究の権威でもあり、体系的に収集された浮世絵のコレクションは、没後慶應義塾に寄贈されました。その高橋コレクションの浮世絵の名品300点が3期に分けて展示公開されます。 |
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4.「染野夫妻陶芸コレクション …リーチ・濱田・豊蔵・壽雪…」 会 期:2009.9.4〜11.3 会 場:北の丸公園 東京国立近代美術館工芸館 入場料:一般 200円(65歳以上無料) 電 話:03‐5777‐8600(ハローダイヤル) http://www.momat.go.jp/CG/someno/index.html 法律家・染野義信・啓子夫妻が、生前に収集された近現代陶芸作品が展示されています。その内容は、茶碗、水指、花入、香合など茶陶からオブジェまで幅広いものです。なかでも荒川豊藏や三輪壽雪の茶陶はその中核をなしています。 l |
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以 上 |