My Museum 東京国立博物館 「柳緑花紅(改訂版)
平成18年1月19日
序にかえて
井 出 昭 一
  
明治生命での長い会社生活にピリオドを打って平成14年3月末に定年退職した後、間を置かず4月から上野の東京国立博物館(愛称は「東博」…トーハク…)でボランティア活動を始めました。
東博は、11万件という膨大な収蔵品を有するわが国最大博物館であること、本館、表慶館(注)、東洋館、平成館、法隆寺宝物館と美しい建物が集中していること、多種多様な樹木を楽しめる庭園とそこに点在する由緒ある茶室など都心とは思えないほど落ち着いた環境であることなど、四季を通じて楽しめる魅力たっぷりのスポットです。恵まれた上野の杜で、美術好きのボランティア仲間との楽しい活動も今年の3月で4年目を迎え終了することになりました。
(注)本館(設計:渡辺仁)、表慶館(設計:片山東熊)は、明治生命館(設計:岡田信一郎)と同じく重要文化財に指定されている建物です。
 この間の東博に関する状況をエッセイ『柳緑花紅』として、一昨年5月から11月まで「メルマガIDN」へ毎月掲載しました。一応終了したところ、読者から継続の要望もあって、昨年6月から12月まで『柳緑花紅』の続編として『莫妄想』を連載しました。
自分の考えをまとめる良い機会を与えられたと考え、また、今までに集めた資料・文献などを読み返すのも頭の体操にもなるかと思って、毎月2回ずつ書き続けてきました。東博の平常展の楽しみ方とか建物、樹木、環境など知れざる一面を紹介したことにより、“東博ファン”の増加に多少ともお手伝いできたのではないかと考えています。思いがけない人が読んでいて感想を寄せられたり、その反響が多いことからインターネットの威力に今更ながら驚いています。
明和会の世話人の奥山貞夫さんから、『柳緑花紅』をそのまま明和会ホームページにも掲載してはどうかとのお話をいただきましたが、執筆当時と現在とでは状況が変わっている点も多いので、考えた結果、これまでのものを再構成のうえ大幅に加筆訂正し、関係する写真も多く取り入れ『柳緑花紅(改訂版)』として毎月2回の予定で明和会ホ−ムページに連載することにしました。
なお、「メルマガIDN」に連載した『柳緑花紅』と『莫妄想』は編集担当者のご好意により全文を抜き刷りの形でとりまとめていただきました。
もしご覧になりたい場合は、『柳緑花紅』は
http://www.npo-idn.com/rennsai-ide.htm
で、『莫妄想』は
http://www.npo-idn.com/
を開き、右側の欄の『莫妄想』をクリックするとご覧いただけます。
また、今回からエッセイ本文とは別に、IDE・トピックスとして、展覧会・イベントなどに関する最新情報をお届けします。
IDE・トピックス No.1 ( 2006.1.19)
1.特別展「書の至宝…日本と中国…」
  東京国立博物館・平成館  2006.1.112.19  観覧料 一般1400
 中国と日本の書の名品約190点が一堂に会した空前の大“書”展です。中国の書では、王羲之の喪乱帖、淳化閣帖、定武蘭亭序、欧陽詢の九成宮醴泉銘、蘇軾、黄庭堅の名筆。日本の書では、聖徳太子の法華義疏、賢愚経残巻(大聖武)、空海の風信帖、小野道風、藤原佐理、行成、道長、定家から寛永の三筆(信尹、光悦、昭乗)までがズラリとならんで壮観そのものです。
 なお、明和会の会誌の題字「明和」は、欧陽詢の「九成宮醴泉銘」から臨書したものだといわれ、その書風は、極めて洗練された高い品格を有して“楷書の極則”と称されているものです。この際、平成館で本物の真髄をゆっくりとご覧ください。
2.国宝「松林図屏風」長谷川等伯筆 安土桃山時代・16世紀
東京国立博物館・本館 2階 国宝室  2005.12.272006.1.29 
観覧料 一般420
(平常展の料金で見学できます。満65歳以上であれば、年齢のわかる運転免許証などを提示すれば無料です。本館ばかりでなく、東洋館、法隆寺宝物館も見学できます。是非、この特典ご活用ください。)
 日本の水墨画の名品というより、最も人気の高い日本美術を代表する名品中の名品です。水墨画は作品保存のため、照度を相当落とし暗くして展示していますので、幻想的な雰囲気の中で鑑賞できます。年間の展示日数が限られていますので、今回は2年ぶりの公開です。この際、お見逃しなく。   以上

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