高島克規のインド日記
12月 1日(火) 頂いたメールのご紹介
  今回は最近いただいたメールのひとつをご紹介したいと思う。その他にたくさんの方からメールをいただき感謝いたしております。この場を借りてお礼申し上げます。
 はじめまして。
 XXXXXと申します。
 現在、ムンバイのKandivali Westと言うところにいます。

 私の息子、KKK(21歳)が、サッカーのインディアンリーグ、I-Leagueの、ムンバイFCと言うプロサッカーチームと、1年契約をして、9月のはじめからムンバイ、カンディバリに住んでいます。KKKは、日本人とニュージーランド人のハーフで、ニュージーランド生まれ、育ちではありますが、日本とは、小さな頃から行き来をしており、日本語もちゃんと話せる日本人でもあります。そんな息子を訪ねて、主人と二人で、ここムンバイに12日間の予定でやって来ました。

 KKKは、高校を卒業してすぐに18歳で、日本のJ−リーグのチームである「MMMM」というチームに入団し、その後、JFLの「OOOO」に移籍し、約1年半を日本で暮らしました。サッカーがただひたすら好きで、「お金がもらえて、サッカーのできる所ならどこへでも行く」と言う情熱を持って、「インドに行く」と旅立ちました。私にすれば、インドは未知の国であり、驚きはしましたが、夢を追う息子を送り出しました。

 KKKがインドへ来てから2ヶ月。クラブの寮には、衛生上の都合で、「どうしても住めない」と、住む所探しや、銀行口座を開けるのに、6週間かかったりで、何も思い通りに、事がすすまない環境の中、なんとか一人で、頑張って生活をしていたようです。

 私たちは、先週の土曜日に、ムンバイに到着し、5日間が過ぎましたが、この究極の地を体験し、息子が、ここで、ここまで一人で、よくやってこられたもんだ、と、ほとほと、感心しました。私が、持って来た「日本のごはん」と、自家製の「鮭のフレーク」を、涙を流さんばかりに食べてくれました。

 私たちを待っていたKKKは、サッカーの練習環境や、考え方の違うサッカーを目の当たりにして、それだけでも精神的に戦ってはいるのですが、それ以上に、食べ物や毎日の生活環境にも、ほとほと疲れて来ており、ホームシックの重症状態となっていました。 

 今日は、朝から雨と言う事で、KKKの練習がなくなったので、3人でどこかへ出かけようと言う事になり、ライオン サファリパークへ行こうかと、インターネットで情報を調べている内に、「かつきさんの日記」と知り合いました。それで、サファリパークは断念しました(雨が降っている事と、午後3時には戻って来なければならなかったので)。

その後、かつきさんの日記をゆっくり読む暇もなく、「じゃあ、Kandivali 駅から電車にのって、北へ一つだけ行ってみよう!」と言う事になりました。KKKは、「インドの電車には乗れない」「特に雨が降っていたら、みんな濡れているから、絶対にお母さんが乗れるような状況ではない」と言っていましたが、否定的になる息子に、何とか肯定的な行動を示したい気持ちで、駅に向かいました。

 「インドを日本の常識で考えたら、大きな間違い」、でした。断念しました。駅の周辺を探索して、安くておいしい食べ物もたくさん見つけて帰って来ました(全部、KKKに教えてもらう事になりましたが。)

 今晩になって、かつきさんの日記を読み出し、もう止まらなくなり、まるで小説を読むかのように読みふけってしまいました。 特に、今日、電車にトライしようとしただけに、かつきさんの最初の電車の格闘技は、ドキドキしながら読みました。かつきさんの日記、全てが今、私が見ている世界と、全く同じである事が、本当に楽しくて仕方がありませんでした。

 ストレスの溜まる中、こんな面白く(失礼)、たくましい日本人が、KKKのすぐ近くに住んでおられる事、今日は、砂漠の中にオアシスを見つけたような感動を覚えました。

インドの鉄道(写真をクリックするとスライドショウ) カンディバリの八百屋、カンディバリ駅の周辺
(写真をクリックするとスライドショウ)
  私が日記で書くよりよっぽど臨場感のある内容・記述に感動した次第です。ところで最近のニュースにこんなものがありました(「Times Of India」11月6日)。
 インドのハイテク産業の集積地バンガロールで、ベビーシッターが預かっていた生後7カ月の男児を路上生活者に1日2ドルで貸し出していたことが分かった。11月6日付のタイムズ・オブ・インディア紙が伝えた。べビーシッターは事件発覚後に解雇されたという。

 この事件は、ある多国籍企業で働く母親がいつもより早く帰宅し、赤ちゃんがいなくなっていることに気付いて明るみに出た。ベビーシッターは過去3週間、赤ちゃんを路上生活者に貸し出していたことを認めたという。

 インドの都市部などでは、信号脇や路上で赤ちゃんを抱えた路上生活者の姿がよく見られる。また、同国では伝統的に施しをすることは功徳を積むことになるとも考えられている。

 インドでも女性の社会進出と核家族化の傾向により、子どもをベビーシッターなどに預ける共働き世帯が増えている。

路上生活者(写真をクリックするとスライドショウ) 物乞い

  毎朝、ヒテーシュさん一家と車で通勤しているが、一番辛いのは信号で車が止まる時である。
スラム生活者
(写真をクリックするとスライドショウ)
いっせいに路上生活者、特に子供たちの群れが車の窓を叩くのである。知らないふりをするのが大変である。いくら無視しても窓を叩き続ける。信号が変わり車が動きだすとほっとする。ムンバイの人口は1600万人、うち700万人がスラム生活者、100万人が路上生活者である。一人の子供の稼ぎは平均400円(200ルピー)から1400円(700ルピー)と言われ、一方、労働者の収入は200円(100ルピー)から1000円(500ルピー)である。更に幼児、身体障害者だともっと稼ぎがいいらしい。
  インドのオリンピック開催立候補の話をヒテーシュさんにしてみた。「アドバルーンはいいですけど、実際は難しいと思います」との返事であった。まだまだインドが国際社会の仲間入りするのは遠いのかもしれない。
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