高島靖男のインド日記
6月16日(火) タージ・マハール・ホテル(続編)
  5月下旬に家内と友人夫妻がインドに遊びに来てくれた際、再び「タージ・マハール・ホテル」へ行ったのでご紹介したい。 
  我々4人は5月24日(日曜日)の午後1時ごろ立ち寄った。入口は物々しい警戒態勢で3回荷物をチェックされる。2回目は飛行場と同じようにレーザーカメラで荷物の透視検査をする徹底ぶりである。
  インド国内はどこもチェックが厳しいがこのホテルほど厳しいところはないのではないかと思う。
ホテル厳戒態勢
  やっと検査が終わると1Fロビーに入る。それほど広いロビーではないが、日本の帝国ホテル、ニューオオタニのように誰でも立ち寄るという雰囲気でないためごった返していないのがいい。日本人の姿は見えない。白人の姿が目立つ。それに金持ちと思われるインド人家族(かなりの大人数が多い)の姿が目立つ。
  早速、ランチということになった。軽いランチと思っていたのでレストラン(注)ではなく「コーヒー・ショップ」へ行った。時間が早かったせいもあるが初めは我々4人だけであった。
ホテルロビー(写真をクリックするとスライドショウ)
  席につくとウェーター長と思われる男性(恐らく20歳後半)から「本日は日曜日ですからブランチをご用意しています」と説明があった。いわゆるビュッフ・スタイルのランチである。この男性の発音はアメリカ英語であった。

(注)
レストランはマサラー・クラフトという、インドおしゃれカレーレストランが1Fにある。外国人向けインドカレーという感じなので、味はマイルドでレストランもカフェバーみたいにおしゃれであるが、本格的カレーって感じではない。ドーサーや、日替わりのムンバイティフィンという、ランチメニューはお奨めできる。

  洋風、中華(残念ながら日本食はなかった)が中心である。不思議なことにインド料理は並んでいない。欧米人が中心なのでインド料理はお口に召さないのかもしれない。それにしてもインド料理をメニューにしていないことは徹底している。インド産ビール「キング・フィッシャー」を飲みながら、昼食となった。奥の方ではライブの音楽もやっていて、カーペンターズをカバーした曲ばかりやっている。やはり米国人の客が多い、ということの証左であろう。

レストラン入口 レストラン内

  実は5月24日、私はうっかりしてカメラを持参しなかったため写真を撮っていない。そのため本日(6月13日)、一人で同じコースを辿って写真を撮ったのでご覧いただきたい。  ご参考にどの程度の値段でお昼が楽しめるかご紹介したい。5月24日(日曜日)は一人(税込み2250ルピー<セットなので飲み物も自動的に含まれている>、約4500円)、6月13日は一人(税込み1850ルピー<ビール、ミネラル・ウオーター含め>、約3700円)であった。世界の超一流ホテルでこの値段であれば文句なし!というところであろう。(レシートご参照)
デザート レシート(写真をクリックすると拡大します)

  また、今日(6月13日)、私の相手をしてくれたインド人のウェイターは日本語が少しできる。「ビールですか?コーヒーですか?紅茶ですか?」程度ではあるが、外国にいると日本語で話しかけられると妙に親近感がわくものである。彼の写真も撮ったのでご覧いただきたい。
  コーヒー・ショップの横はプールになっているが、宿泊客しか入ることが許されていない。残念であるが外側からの写真のみでご勘弁願いたい。
ウエーター
 
プール入口付近 プール入口
  ホテル内の1Fギャラリーには歴代の宿泊VIPのポートレートがある。クリントン元米国大統領、ジョン・レノン&オノヨーコ、オードリーヘップバーン…。インド国内ではネルー首相、ラビ・シャンカール、ジャイプールのマハラニ・ガーヤトリー・デヴィなどなど。
  そして今日もう一度このホテルへ行った理由はもうひとつある。それはトイレの便器がTOTOであるか、という確認に行ったのである。本家、本もともやはりTOTOが入っていたのである。流石である。
TOTO便器

ジョン・レノン クリントン
  そして1Fロビー奥には「宝石」、「貴金属」、「絨毯」など高級店が並んでいる。我々4人は最初、貴金属の店に寄った。そこのご主人も少し日本語を話す。「去年のテロ事件以来、めっきりお客が減って」と意気消沈したような声音でセールス・トークをする。これは彼の業なのであろう。何となくその気になってしまうものである。幸いというか不幸と言うべきか、ご婦人方にお気に入りのサイズがなかったのである。折角のセールス・トークも泡と消えてしまったのである。

  ついで隣の絨毯・ショール店に立ち寄った。入口は狭いが中はとても広い。店には三人のインド人がいた。誰も客がいない。我々はイイかもである。早速、二人のインド人がショールを説明、見せ出した。カシミアである。ゴアへ行く前で初めて「ショールと絨毯のセールス・トーク」に遭遇したのである。全く、免疫が出来ていなかった。次々と見せられるショールは確かに、デザインも生地も色合いも半端ものでなく男の眼から見ても素晴らしい。

  一人が説明、一人が身につける。次から次へと、これでもか、これでもか?という感じである。ファッション・ショーのようである。「気に入らないか?」という質問はしない。「どちらが気に入ったか?」を聞いてくる。「気に入らない」というと、「何故気に入らない。ではこれではどうか?」とたたみこんでくる。絶対、客に「ノー」という言葉を言わせないのである。「日本ではこの値段の倍はする、あるいは3倍はする」という台詞に負けて、結局、ご婦人方は二枚ずつ買わされてしまったのである。保険のセールスもこれを見本にしたいくらいである。友人は保険セールスの仕事を長年やってきたのだが聞き惚れてしまっていた。
友人が「ディスカウント」と言うと「悲しそう顔」をして「我々はとても良心的値段で売っているのでこれ以上は下げられない」と切り返してくる。結局、わずかの「ディスカウント」で押し切られてしまったのである。保険のセールスにも悲しい顔が必要である!
 
  ショールのセールスが終わると今度は絨毯のセールスである。3人目のちょっと年配のインド人が説明し出した。これまた縦板に水のようである。先ほどの二人は絨毯運びから並べるまでコマネズミのようである。「持ち帰るならこのようにコンパクトになる」と絨毯を折りたたむ。「もし郵送なら送料はこちらで負担する」。こちらの断り文句を予想しているかのような話の流れである。
もういけない。これ以上、長居しては敵の思うつぼだ!ホウホウのてい、で逃げ出した。しかしセールス・トークは見事であった。絨毯も素晴らしかったので、欲しいことは欲しかったが。一枚買ったら最後、もう身ぐるみ剥がされていたことであろう。「タージ・マハール・ホテル」へ行くときはご用心を!!

目次に戻る