高島靖男のインド日記
12月28日(日) 宗教について
日本からインドに入国する場合、法的に予防接種の証明書を求められることはありません。

 しかしインドでは肝炎や破傷風、狂犬病やコレラなどさまざまな感染症が発生しているのは事実です。もしも気になる場合は日本で予防接種を行っていくのも一案でしょう。

 また時期や地域によっては、マラリアやデング熱など蚊を媒介する病気が流行していることもあります。このような病気が流行していないか事前に調べ、もし危険があるようなら虫除けスプレーや蚊取り線香、長袖長ズボンなど体を覆う衣服を準備して渡航してください
睡眠中


(1)消化器感染症
 食べ物や飲み物を介して感染する消化器感染症は、旅行者や在留外国人にとって最もかかりやすい感染症です。ウイルス性下痢、細菌性下痢はもちろん、腸チフス、パラチフス、細菌性赤痢、アメーバ赤痢、コレラ、A型肝炎などは都市部でもよく見られます。
  A型肝炎は潜伏期間が1ヶ月程度と長く、発熱や全身倦怠感といった風邪のような症状で始まり、次第に黄疸が出現します。治療薬はなく自然に治るのを待つのみですが、1%ほどは命にかかわるような重症肝炎(劇症肝炎)になるとされています。A型肝炎にはワクチンがあります。

(2)デング熱・デング出血熱
  デングウイルスというウイルスが、ネッタイシマカやヒトスジシマカ(日本ではヤブ蚊と呼ばれる蚊です)によって媒介されて感染する病気です。頭痛、眼の奥の痛み、関節痛、筋肉痛などの痛みを伴い、熱が下がり始める頃に発疹がよく見られます。ワクチンも治療薬もないため、予防は蚊に刺されないようにすることのみで、治療は対症療法となります。

(3)マラリア
  インドのマラリアは熱帯熱マラリアと三日熱マラリアの二種類です。マラリアはハマダラカという蚊によって媒介される病気で、非都市部で見られることが多いのですが、ニューデリーでも年間1,000名くらいの患者が出ています。都市部に居住する場合には予防内服の必要はありません。

(4)狂犬病
  インドは狂犬病の犠牲者が世界で最も多い国で、年間1万5千人以上が狂犬病で亡くなっています。インド人は宗教上の理由で殺生を好まないため、野犬がそのまま放置されており至る所に野犬がいます。野犬には絶対近づかないようにしてください。ワクチンはありますが、有効期間が短いことと、たとえワクチンを接種していても犬などのほ乳類に咬まれたりなめられたり引っかかれたりした場合は追加のワクチン接種等が必要であることに注意してください。
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